はい、のねたです。
突然ですが、皆さんは地獄に行ったことはあるでしょうか?
私はまだ生きているのでありません。
罪を犯した人間が死後に行きつき、罰やら苦しみやらを受けるとされる『地獄』。
そんな世にも恐ろしい地獄を題材にした絵本を、手塩にかけて育てた息子の本棚から見つけてしまったときの私の気持ちがわかるでしょうか。
なんやこれ、面白そうやんけ!!
(嫁が買ってきたんか?)
というわけで、今回はナカオマサトシさん著書『じごくにアイス(ひさかたチャイルド)』について解説していきたいと思います。
- 和歌山県生まれ。
- 2012年『うれないやきそばパン』(金の星社)で絵本作家デビュー。
- 2016年『いってらっしゃい うんちくん』(ひさかたチャイルド)で、第4回わかやま絵本大賞1位を獲得。
- その他の作品に『どんどん くるくる』(大日本図書)、『ようかいでんしゃ』(ポプラ社)、『わたしがノーベルしょうをとったわけ』(フレーベル館)など多数。
ちなみにこのナカオマサトシさん、
閻魔様に出会ったらどうする?という質問に対し、「この絵本にサインをもらって記念写真を撮りたい」というどこぞのサイヤ人ばりの豪胆さっぷり。
明らかに只者じゃない匂いがプンプンしますね…!
絵を担当したのは皆さんご存じ、澤野秋文さん。
- 神奈川県生まれ。
- 武蔵野美術大学デザイン学科卒業。
- 2013年『それなら いい いえ ありますよ』で講談社絵本新人賞佳作を受賞。
- その他の作品に『じつはよるのほんだなは』(講談社)、『たなからぼたもち』(廣済堂あかつき)、『かべのすきま』(アリス館)、『ししにゃいとおしょうがつ』(世界文化社)など多数。
澤野秋文さんは 閻魔様に出会ったらどうする?という質問に対し、 「『じごくにアイス』の看板やポスターを描かせてもらう」とのこと。
どうゆうこと?
もっと、
助けてください!地獄だけは勘弁してください!
お靴お舐めしますから~!ぺろぺろ
みたいな人間らしい回答を期待していたのですが、やはり2人とも只者じゃないようです。
異世界転生のパイオニア?『じごくにアイス』 のあらすじ
『じごくにアイス』はなんと圧巻の本編33ページ!大ボリュームゆえに一言であらすじを表現するのは至難の業です。
小一時間(ホントは2分くらい)悩んだ末に、私がまとめたあらすじはこちら↓
転生モノかな?
あらすじ書いてて思ったけど、明らかに今流行りの異世界転生モノじゃないですか?
異世界は異世界でも『地獄』ですけど。
ラノベやマンガに留まらず、絵本にまで異世界ブームが来ているとは…!
しかし、侮ることなかれ。この『地獄にアイス』には人生において学ぶべき大切な事が多数詰め込まれているのです。
少年ジャンプ顔負け?『じごくにアイス』で学ぶ大切な事
『地獄にアイス』で学べる大切な事は下記の3つです。
- 努力(effort)
- 友情(friendship)
- 勝利(victory)
特に意味はありませんが、英語表記も載せてみました。かっこいいですよね。
1つずつ解説していきましょう。
『じごくにアイス』で学ぶ大切な事 「努力」
主人公『こたろう』の職業はなんとアイス屋さんです。
信じられますか?しかも移動販売車のアイス屋さんですよ?
この絵本の発行は2020年5月ですが、当時日本は新型コ○ナウィルスが蔓延し、軒並み飲食業が廃業に追い込まれていた時代です。
帝国データバンクの集計した「飲食店の倒産動向調査(2020年)」によると、2020年の飲食店事業者の倒産は780件
そんな時代に個人で経営する移動販売車のアイス屋を切り盛りしていた『こたろう』。
間違いなく並々ならぬ努力をしたに違いありません。
全人類へ向けた作者の熱いエールが読み取れますね…!
『じごくにアイス』で学ぶ大切な事 「友情」
特に罪を犯したわけでもない『こたろう』ですが、成り行きで地獄へ連れて行かれます。
(たまったもんじゃねぇな)
そこで目にしたのは、釜茹で地獄の火が屁こき鬼の屁に燃え移り、かまどが爆発寸前という状況でした。
なんて?
ごめん、もう1回説明して?
という皆さまの意見は置いておいて話を続けますが、この後かまどは大爆発を起こし、地獄は火の海と化します。
そこで『こたろう』は閻魔様や鬼たちと協力して消火活動に励むのです。
協力して消火活動なんて文字通り熱い友情やんね~。
無事に火を消し終わった後、「冷たい物が食べたい」と言った鬼に対し、自分がアイス屋さんだということを伝える『こたろう』。
みんなでアイスを食べるため、協力してアイスの材料を集めることに!
- マッドホルスタインの乳
- デラックスプテラノドンの卵
- 氷地獄にある何でもカチコチになる氷
どの材料も手に入れるのに割と命がけでしたが、地獄の友情パワーで無事『こたろう』はアイスを完成させたのでした。
わざわざ見開きどアップでアイスを頬張る鬼の顔は、さしずめ地獄先生ぬ~べ~の『赤いチャンチャンコ』を彷彿させます。
余談ですが、赤いチャンチャンコ当時は完全にトラウマでした。
『じごくにアイス』で学ぶ大切な事 「勝利」
鬼たちと協力して作った友情アイスは大反響。
『こたろう』が長年培ってきたであろう職人としての技術は地獄でも健在です。
ここでも努力の大切さがわかりますね…!
そのアイスを食べた閻魔様の温情もあり、『こたろう』は現世に帰ることができたのでした。
大 勝 利 ☆
死ぬほどの勢いですっ転んだ『こたろう』でしたが、後遺症はおろか出血すら無く、何事も無かったかのように平然とアイス作りに励むのでした。
完 全 勝 利 ☆
まとめ:『地獄にアイス』を通じて作者が伝えたかった事とは
これまでに解説した『地獄にアイス』に学ぶ3つの大切な事、
- 努力(effort)
- 友情(friendship)
- 勝利(victory
これらはあくまで表向きのメッセージであり、作者が本当に伝えたいことは他にあると私は考えます。
それは、「心を燃やせ」ということ。
…えぇ、とにかく「心を燃やせ」ということです。「とりあえずガンガンに燃やせ」。
未だ出口の見えぬ闇の中、不器用に藻掻く我々現代人に向けて「胸を張って生きろ」「己の弱さや不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようと 心を燃やせ 歯を食いしばって前を向け」というメッセージがこの絵本には記されていた。
私はそう信じて疑いません。
我が子と共に大切な事、今一度思い出してみませんか?
絵本選びに迷った際は、ぜひ『地獄にアイス』をどうぞ。
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